SEIKO

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要素開発設計 藤沢 照彦

外装設計 松本 賢一郎

世界初のGPSソーラーウオッチ
「セイコー アストロン」とは?

1969年にセイコーが世界に先駆けて発売したクオーツ式時計「セイコー クオーツ アストロン」の名を冠した「セイコー アストロン」は、高い時間精度で世界の人々のライフスタイルを一変させた「クオーツ革命」に継ぐ、時計史の「第二の革命」を起こすべく、2012年9月に誕生した世界初のGPSソーラーウオッチ。

この腕時計は、定期的な電池交換の必要がないソーラー充電機能に加え、圧倒的な受信感度を誇るセイコー独自の「リングアンテナ」と自動時刻修正機能「スマートセンサー」の組み合わせにより、地球上のどこにいてもGPS衛星からの電波を受信して、現在位置のタイムゾーンを特定し、正確な現在時刻を素早く表示する。独自開発された技術の数々をはじめ、機能美あふれるセラミックスベゼル、そして独特の奥行きが宇宙空間を想起させるダイヤルの意匠は、その誕生以来、今日に至るまで脈々と受け継がれている。

要素開発設計
藤沢 照彦

1989年セイコーエプソン株式会社入社。ウェアラブル機器事業部WP企画設計部において、世界初のページング通信機能付きウオッチ「セイコー レセプター」を皮切りに、ソーラー電波時計やGPSソーラーウオッチなどの開発・設計に携わる。2016年度関東地方発明表彰において、リングアンテナを搭載したGPSソーラーウオッチ アストロンの発明により、文部科学大臣賞受賞。リングアンテナのほか、ウオッチ関連特許を多数取得。

外装設計
松本 賢一郎

1998年セイコーエプソン株式会社入社。ウェアラブル機器事業部WP企画設計部において、SD600mダイバーズをはじめ、国内外モデルの外装設計を担当。2004年より、ソーラー電波時計の外装設計・開発を手掛けたのち、GPSソーラーウオッチの外装設計に携わる。現在は同部署のシニアスタッフとして、グランドセイコー、セイコー アストロンなどの新モデル開発・外装設計を担っている。

GPSソーラーウオッチ
「セイコー アストロン」
誕生の背景 要素開発設計 藤沢 照彦
外装設計 松本 賢一郎
インタビュー

2012年9月に誕生した世界初のGPSソーラーウオッチ、セイコー アストロン。基礎検討の開始から、約6年の歳月をかけて試作・検証を繰り返した末、技術陣は、腕時計がおよそ装備しえなかった機構のGPSソーラーを取り入れ、かつてない機能と感性をあわせ持つ腕時計を作り上げた。その開発に至る経緯や誕生までの軌跡について、要素開発設計担当の藤沢照彦と外装設計担当の松本賢一郎に話を聞いた。

2012年、世界初GPSソーラーウオッチ「セイコー アストロン」が誕生

2012年、世界初のGPSソーラーウオッチ「セイコー アストロン」が発表されました。開発のきっかけは何だったのですか?

1991 GPS機能搭載モバイル端末「Locatio(ロカティオ)」

藤沢照彦(以下、藤沢):1996年ごろより、当社ではGPSモジュールの開発を手掛けておりました。時計製造から発展してきた当社ゆえ、GPS開発部門にも、時計事業出身者が多く在籍しており、開発当初より、GPS技術を腕時計に応用することをひとつの目標にしていました。1999年に発売した世界初のGPS機能搭載モバイル端末「Locatio(ロカティオ)」は、GPS技術を用いた初めての製品です。同時期に開始した位置情報を核とするインターネットのモバイル向け情報事業「i-Point network」と連動しており、取得した位置情報をもとに、タウン情報などの関連コンテンツを提供するというものです。ロカティオは、GPS機能のほか、PDAの基本機能やインターネット閲覧、デジタルカメラ、メールの送受信、PHSの通話機能を装備しており、現在のスマートフォンの先駆けともいえるモバイル情報端末でした。

ロカティオで培ったGPS技術は、その後、携帯電話をはじめ、スマートフォンやタブレットなどに搭載するGPSモジュールの開発にも活用されていきました。しかしGPSソーラーウオッチの実現検討については、当時のウオッチ事業部とGPS開発部門で幾度となく重ねられながらも、商品化に至らない状況が長く続きました。GPS電波の受信には膨大なエネルギーを消費するため、低消費電力化を進めてはいたのですが、腕時計に搭載できるレベルには到達しておらず、実現することは夢のまた夢という状況でした。

その後、開発はどのように進められていったのですか?

2009年に箱型アンテナを使用して作られた試作品

藤沢:GPS開発部門が携帯電話やナビゲーション機器向けに実績を上げながらも、当社が得意とする省電力化の技術をいかに向上させていくかということに注力し続けました。2005年ごろから、GPS技術を腕時計に応用できる可能性が徐々に見え始め、2006年には、GPSソーラーウオッチの開発プロジェクトの話が、社内で正式に持ち上がりました。省電力化を徹底的に突き詰めたGPSモジュールを新規開発し、GPS機能を搭載した腕時計を実現するために、GPS開発部門と自身を含むウオッチ事業部の技術者が協働して、基礎開発を推し進めるようになりました。開発当初より、我々が目指したGPSソーラーウオッチ アストロンの価値は、次の通りです。

  • 地球上のどこにいても、簡単な操作で現在地の正確な時刻を知ることができる
  • 歩きながらでも、ユーザーに意識させることなく、素早く時刻情報を受信できる
  • 安心して長く使い続けられる
  • 地球上のどこにいても、充電して動き続ける
  • GPS衛星とつながる情緒的な価値的な価値

まず、地球上のどこにいても、GPS測位で現在位置のタイムゾーンを特定して現地時刻を表示する腕時計であるということ。次に、空の見える屋外にいることを自動で認識し、歩行中でも素早く時刻情報を受信することで正確な時刻に修正すること。
安心して使い続けられるように、太陽や蛍光灯などの光をエネルギーに変換する光発電システムを動力源にすること。先進の技術を搭載し、最高の精度と性能を備えた腕時計に相応しい、魅力的で質感の高いデザインを実現すること。地球上から2万㎞以上も離れた宇宙を周回するGPS衛星と、腕時計がダイレクトに繋がる歓びをユーザーが体感できる仕様にすること。

5つの価値を満たす腕時計を目指して、試作と検証を繰り返す一意専心で全力を尽くした結果、2009年ごろには、ブレイクスルーのきっかけを掴むことができ、技術開発は一気に加速していきました。そして2012年、4基以上のGPS衛星を捕捉して、世界中のどこにいても、その地域のローカル時刻をワンタッチで表示する世界初のGPSソーラーウオッチ、セイコー アストロンを発売するに至りました。試作品をできるだけ早く仕上げて欲しいなど、時として、無理難題な要求をしましたが、セイコーエプソンの最先端技術で実現できる最高の時計を世に出したいという思いを共有したメンバーばかりでしたので、快く対応してくれました。そして、就任当初よりGPSウオッチの実現を渇望し、商品化を後押ししてくださったセイコーウオッチの服部社長(現会長兼CEO)の存在が強くありました。

セイコー アストロンは、1969年にセイコーが世界に先駆けて発売したクオーツ式時計「セイコー クオーツ アストロン」から命名されています。その理由について教えてください。

1969 クオーツ アストロン

藤沢:セイコーウオッチと共に開発を進めていく中、この腕時計は、革新的な技術で腕時計の新たなスタンダードを築き上げた「クオーツ アストロン」の名を受け継ぐにふさわしいモデルではないかという声が上がりました。そして、世界初のクオーツ腕時計、クオーツ アストロンのように、GPSソーラーウオッチが再び世界に驚きと感動をあたえるような商品になることを願って命名されました。

具体的にはどのような技術課題があったのですか?

藤沢:大きな課題は主に二つありました。ひとつ目は、これまでお話してきたように、GPS受信時の低消費電力化を図ることです。GPS電波の受信には、従来の腕時計のムーブメントに比べると、非常に大きな電力を消費します。一般に、腕時計を駆動させるために必要な電力が、約1μW(マイクロワット)であるのに対し、開発プロジェクトが始まった2006年ごろのGPS機能は、それと4~5桁も違う膨大な電力を消費していました。光エネルギーを電気エネルギーに換えて動くソーラーウオッチでエネルギー収支を成り立たせるためには、GPS受信時の消費電力をソーラーパネルの発電量以内に収めることが最優先課題でした。

もうひとつの課題は、高い受信性能の確保です。GPS電波は、地球から2万km以上も離れた宇宙空間から飛んでくる非常に微弱な電波ですので、電波を遮断する特性をもつ金属とは、相性が良くありません。しかし最高の腕時計を目指すからには、質感の高い金属ケースを採用することは必然でした。外装のクオリティを保持しながら、微弱なGPS電波を受信できる高感度の受信システムをいかに構築していくかということも、我々が直面した課題でした。

どのように課題をクリアしていったのですか?

藤沢:まず、低消費電力化については、時刻取得に特化した独自のGPSモジュールを新たに開発しました。携帯電話やスマートフォンなどに使うGPSモジュールの場合、時刻表示だけでなく、さまざまな機能が付加されているので、消費電力はおのずと増えてしまいます。そこで、自社のGPS開発技術を駆使して、腕時計に不要な機能を削ぎ落とし、超低消費電力アーキテクチャ(構造)を追求しました。その結果、消費電力を自社従来比で約1/5まで削減し、ソーラーパネルの発電量以内に収めることができました。2012年にセイコー アストロンを世に送り出すことができたのは、この独自GPSモジュールの開発に依るところが大きいです。

一方、高い受信性能の確保については、GPS機器に一般的に使用されている立方体の箱型アンテナの代わりに、「リングアンテナ」というリング状の高感度アンテナを新たに開発し、セラミックス製ベゼルの下に格納しました。箱型アンテナの場合、アンテナをムーブメント内部に配置する必要があり、金属ケース内にもぐり込んでしまうため、電波を遮断する金属の影響は大きく、受信しづらくなります。しかし、リングアンテナは、ムーブメントの上面に配置することができるため、ムーブメントの部材を含む金属による受信影響を受けにくく、ダイヤルを空に向けなくても、歩行中に素早く受信できます。また、高質感、高耐傷性という特性を持つうえ、GPS衛星から電波を通しやすいセラミックス素材をベゼルに採用することで、優れた受信感度の確保を可能にしました。電波の届きにくい都会のビル街や、腕に付けた状態での動作中や移動中など、受信に厳しいとされる状況での電波受信も実現しています。

リングアンテナは、セイコーエプソンの独自技術なのですか?

藤沢:リングアンテナの基本的な理論自体は、わりと昔からあって、アナログテレビ放送用のアンテナなどに使われていましたが、それを腕時計に採用したのは、セイコー アストロンが世界で初めてです。初期のアイデア特許は1998年に出願しましたが、当時はまだ試作品の段階であり、実用化のための十分な性能は備えていませんでした。

ケース同様、金属でできたソーラーパネルは、電波を遮断してしまいます。その下に箱型アンテナを入れようとした場合、その大きさの分だけ、ソーラーパネルを切り抜かなくては、電波を受信することができません。しかし、それをしてしまうと、発電面積が減ってしまい、エネルギー収支が非常に厳しくなります。加えて、腕時計のサイズもおのずと大きくする必要がありました。一方、ダイヤルを取り巻くベゼルの下に格納するリングアンテナなら、ソーラーパネルの発電面積を最大化して、GPS機能に必要なエネルギーを確保できるうえ、腕時計の大きさを変えることなく実現できます。ソーラーウオッチにとって、まさに理想的なアンテナであると再確認して以来、再び開発に着手し始め、2011年には実用化できる製品として完成させることができました。

セイコー アストロンは、このリングアンテナの基本構成の発明が、技術的に高く評価され、2016年度関東地方発明表彰において、最上位の文部科学大臣賞を受賞させていただくに至りました。

セイコー アストロンに搭載されている自動時刻修正機能「スマートセンサー」とはどのような機能なのですか?

藤沢:スマートセンサーは、1日1回、ダイヤルに太陽光が当たると、5秒以内に自動受信を実行して、時刻修正を開始するセイコー独自の技術です。仮に、腕時計が袖口などに隠れて、太陽光を感知できなくても、前回強制受信に成功した時刻を記憶しているので、その時刻に自動受信を開始します。この機能によって、気づかないうちに、誤差10万分の1秒という精度の腕時計になり、常に正しい時刻を表示します。 また、外部充電が不要な独立型のソーラー式を採用していますので、光が当たるかぎり、動き続けるという特徴があります。

技術開発の途中、苦労したのはどんな点ですか?

藤沢:機能美を備えた腕時計の内装と外装は表裏一体です。特に今回の場合、GPS受信時の低消費電力化をはじめ、リングアンテナや電池保護ICなど、新たに開発した技術が多かったこともあり、これまでにないほど密な会議を毎日のように重ねました。外装担当者には、「これをしたら機能面で影響が生じる」、「ここは必ず守って欲しい」など、どんなに細かいことでも進捗や変更があれば、その都度伝えました。ムーブメント設計と外装設計は、二人三脚ではありますが、非常にタイトなスケジュールの中、彼らには多くの苦労をかけたのではないかと思います。

自身としては、セイコー アストロンの発売前1週間のあいだにアメリカの4つのタイムゾーンで実施したフィールドテストが挙げられます。飛行機で移動して、時差が生じる境目まで広大な荒野を一日中車で移動し、時刻が正確に切り替わるかどうかを確認したら、また同じサイクルの繰り返しという具合で、慌ただしい横断旅行になりました(笑)。このほか、アメリカを含む世界14ヶ国23都市(12タイムゾーン)をはじめ、ユーロスターやTGV、成田国際空港第1ターミナル、ベンガルール空港や山手線主要駅など、国内外でのフィールドテストを実施しました。

話は少し反れますが、嬉しかったことをひとつだけお話させてください。1996年ごろより、GPSモジュールの開発を手掛けていたひとりが私の以前の上司でした。
2006年、GPSソーラーウオッチの開発プロジェクトが始まり、GPS開発部門に所属していた上司と、ウオッチ事業部の私は、チームの一員として再び共に働くようになりました。低消費電力化を図るために、時刻取得に特化したGPSモジュールを新たに独自開発したとお話しましたが、実はこのモジュールを開発したのが、その上司でした。2012年11月に定年することが決まっており、それまでにはなんとかして世に出したいという一心で、技術陣一同、真摯に取り組んだ結果、実現することができました。上司の喜んだ顔が、今でも目に浮かびます。

外装でこだわったのはどのような点ですか?

左からセラミック製ベゼル、外胴、ダイヤルリング、リングアンテナ

松本賢一郎(以下、松本):外装のこだわりは、主に二つあります。ひとつ目は、セイコー アストロンの個性でもある立体的なダイヤルの意匠です。ダイヤルからガラスまでの高さを「見返し」というのですが、この断面を直角的にすると、ベゼルの下に格納したリングアンテナの高さが極端に目立ってしまうため、その距離感をどううまく見せていくかという課題がありました。そこで、リングアンテナ形状に工夫を凝らすことで、見返しをなだらかなすり鉢形状の斜面とし、特長的なデザイン表現の一つになるまで作り込みました。加えて、従来にないダイナミックで、切り立ったインデックスを中心から離して置くことで、厚みを感じさせず、時計の顔が小さく見えないように配慮しました。

こうしたデザインが実現できたのは、独自開発のリングアンテナを採用したことが大きいです。当時、一般的だった箱形アンテナの場合、インダイヤルなど、ダイヤル上で金属パーツを使うと、電波を遮断してしまい、受信感度に影響が出るので、デザイン面での制約が否めません。リングアンテナは、ダイヤルと重なる配置ではないので、デザインのバリエーションは格段に広がりました。

ふたつ目は、ベゼルにセラミックスを採用したことです。セラミックスは、傷がつきにくく、強度や耐食性に優れているうえ、電波を通す性質があることから、リングアンテナの受信感度を確保するためには最適な素材です。これまで当社のモデルでは、加工が極めて困難な素材のため、ダイバーズウオッチの外胴プロテクターやベゼルなど、限られた一部のモデルに使われてきました。セラミックスは、粉末状の材料を成形して、焼結工程で収縮してしまうため、寸法精度が出しづらく、製品化するためには、さまざまな課題がありました。研削技術を導入し、寸法精度を高めながら、その精度内で実現可能な構造に変えていくなど、さまざまな工夫を凝らすことで、通常の金属ケースと同等の機能を備えたセラミックスベゼルを実現することができました。

装飾的な理由が先立ったのではなく、耐摩耗性、耐熱性などの機能面を兼ね備えるためにセラミックスを採用したブラックカラーのベゼルは、「アストロンの顔」であり、宇宙空間を連想させる彫りの深いダイヤル空間は、あとに続くモデルにも受け継がれているセイコー アストロンを象徴するデザインです。

GPSソーラーウオッチの外装ならではの、苦心した点があれば教えてください。

松本:受信感度を確保するためには、ベゼルと金属ケースの分割位置が限定されるなど、さまざまな制約条件が存在しました。そういった条件をクリアしながら、最高の腕時計にふさわしい構造を考える必要がありました。制約がある中での設計は、素晴らしいチャレンジの機会でしたが、今回ほど、複雑な形状の外装を手掛けたのは初めてで、悩むことも多かったですね。

2018年、世界最高峰のテニスプレーヤー ノバク・ジョコビッチとのコラボレーション限定モデルが登場

2018年9月、セイコー アストロン エグゼクティブスポーツラインより、世界最高峰のテニスプレーヤー ノバク・ジョコビッチとのコラボレーション限定モデルが発表されました。このモデルの特徴について教えてください。

セイコー アストロン エグゼクティブスポーツライン ノバク・ジョコビッチ 2018 限定モデル

松本:セイコー アストロンに搭載した7Xシリーズより、約30%の小型化と、さらなる低消費電力化を実現した8Xシリーズ デュアルタイムを搭載したモデルは、中央の時分針と6時位置の12時間制小時計によって、2つの地域の時刻を同時に表示します。エグゼクティブスポーツラインの特徴のひとつであるケースと別体になったりゅうずガードをはじめ、ゴールドを随所にあしらった上品なカラーリングと、よりスポーティな印象のシリコンストラップの融合がユニークなモデルです。

セラミックスについては、トライ&エラーを繰り返しながら、加工技術を応用的に駆使できるようになり、精度も格段に上がっています。この素材を採用したベゼルには、細い筋目模様が入っており、都市表記は、上面だけでなく、側面にもレーザーで刻印してあります。また、ベゼル上のサファイアガラスには、内側から時差目盛りが印刷してあり、テニス4大大会の開催地、ロンドン・パリ・ニューヨーク・メルボルンを示す「UTC・1・10・-5」の4ヶ所のみ、ルミブライト(高輝度蓄光塗料)を施しています。このモデルでは、ダイヤル上のインデックスにもルミブライトをあしらっていますが、ここまで美しく象ることは、至難の業でした。新しい製造手法を取り入れるなど、創意工夫を凝らした末、実現しました。

ケースと裏ぶたには、従来の硬質コーティングと比べ約1.5倍、セイコー独自の表面加工技術「ダイヤシールド」の約1.2倍の実用硬度を備えたセイコー独自の表面加工技術「スーパー ブラックダイヤシールド」を施すことで、より傷つきにくい外装となっています。

今後、セイコー アストロンで挑戦してみたいことは何ですか?

藤沢:さらなる小型化の実現のために、尽力していきたいと思います。要素設計の立場としては、今後、デザイン制約をできるかぎりなくしていけたら本望です。

松本:セイコーアストロンは先進的な時計でありながら、長く時計をつくり続けてきた技能を活かし、高い質感と装飾性を合わせもつ時計の実現を目指してきました。
セラミックスベゼルや、立体的な文字板表現など2012年の登場以来受け継いでいる独創的な要素を大切にしながら、更なる外装デザインの進化に挑戦していきたいです。