2016年11月30日
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山縣亮太選手と行く「雫石高級時計工房」見学ツアーレポート

 10月12日、日本で唯一高級機械式腕時計の一貫生産ができる専門工房「雫石高級時計工房」へ、日本を代表するアスリートであり、100m10秒03を自己記録に持つトップスプリンターでセイコー社員の山縣亮太選手が訪問しました。
山縣選手の目に、世界でも最高レベルの精度をもつグランドセイコーを生み出している工房は、どのように映ったのでしょうか?

■ 先進テクノロジーとクラフトマンシップの融合

 山縣選手を出迎えたのは、盛岡セイコー工業の代表取締役社長である竹中さん。まずはエントランスにあるムーブメントの分解図やパーツを見せながら、時計の仕組みを解説します。
「200~300点ものパーツから構成される機械式時計は、パーツそのものの精度が、時計の精度を大きく左右します。そこでグランドセイコーのパーツ製造時の精度を最大限に高めるための、『MEMS』といった最新技術でパーツ精度をあげています」(竹中さん)。

さらに、竹中さんは続けます。
「しかし、どんなにパーツ精度を上げても、それらを組み込んだだけでは作動しません。職人の手によって、パーツは一つひとつ丁寧に磨き上げられ、1/1000mm単位の調整が行われて、初めてグランドセイコーの厳しい精度基準をクリアしたクオリティーに到達するのです」。

次に、施設の奥へ入りパーツ製造の部屋へ。
「パーツに模様が入っていて、一つひとつがとてもきれいですね」と山縣選手。グランドセイコーは「美しさ」も腕時計の本質の一つとして捉えており、外装だけでなく、パーツにも美しさを追求しています。
「このパーツにはグランドセイコーの獅子の紋章も入っているんですね」(山縣選手)。
すると、「これは回転錘で、時計のシースルー仕様の裏ぶたから見ることができます。グランドセイコーのなかでも通常のムーブメントよりも精度を高めた特別精度ムーブメントにだけ獅子の紋章のワッペンを入れています。そのワッペンは18Kゴールドですよ。」と竹中さんが説明してくれました。

■ ついに工房の中へ

 いよいよ職人たちが時計の組立・調整をしている工房へ入っていきます。

 グランドセイコーのメカニカルウオッチはすべてこの工房で作られています。職人たちが作業する机は、一人ひとりに合わせて作られた、岩手県の伝統的家具「岩谷堂箪笥」による特注品。職人の中でも特に技術力の高い20名だけがこの工房での作業を任されており、この静かな空間で、機械では調整することのできないμm(マイクロメートル)に及ぶ誤差を職人の目と指先によって調整が施されています。
すると山縣選手から「あの、そんな小さいパーツを組み立てていて、途中でなくしちゃったりしないんでしょうか、、?」という質問が。「さすがに無くしてしまうことはありません(笑)。でも小さなパーツまで同じ施設内で生産しているので、もしそんなことがあっても大丈夫ですし、万一不具合があればすぐに指示が届き、改善されたパーツが出来上がるので、そういった点も製造から組立を一貫して行っているメリットですね」(竹中さん)

■ 世界でも数少ないマニュファクチュール

 国産腕時計の頂点といえる「グランドセイコー」。その機械式時計の部品製造から、組立、調整、出荷までを一貫して行うのが、雫石高級時計工房です。工房の拠点は盛岡セイコー工業の施設内にあり、セイコーは世界でも数少ない「マニュファクチュール」です。

*マニュファクチュール:ムーブメントから自社一貫製造する時計メーカー

実際に職人の技術を見たところで、工房ツアーは終了です。最後に山縣選手は、ムーブメント組立に挑戦しました。

■ ムーブメントの組立に挑戦!

 「高級時計の組み立ては難しいと聞いていましたが、思った以上に疲れました。最後、動かすところが特に難しかったので、動いた時は、“やったー!”と思って凄く嬉しかったです。工房で素早く正確に組立をすすめられる職人の方々を見て、流石だなと思いました。」と、一日の感想を語った山縣選手でした。

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