静寂に力を宿す。
花に息づく、日本の美。
四季の移ろいとともに生きてきた日本には、
自然の中に美を見出す文化がある。
その感性は、色や素材としてかたちを変え、
今の時代にも息づいている。
「日本の美をしなやかに纏う」をコンセプトとする
セイコー プレザージュ クラシックシリーズに、
染めに着想を得た、日本ならではの
色彩を組み合わせた新たなモデルが登場した。
色に宿る日本の美意識を、
華道家・美榮(BIEI)氏の作品を通して紐解いていく。
美榮(BIEI)さん
華道家・アートディレクター
美榮(BIEI)さん
華道家・アートディレクター
伝統的な華道の技法を礎としながら、花を通して時間・空間・文化を重ねる表現を展開する華道家、美榮(BIEI)氏。その作品は、花を飾るのではなく、花のいのちと向き合うことで、空間そのものを再構築していく。日本文化と現代アートを横断し、日本の美意識を新たなかたちで提示し続けるその活動は、国内外の空間演出やアートプロジェクトにおいて高い評価を得ている。
ナビゲーター
アレックス デレチさん
今回のナビゲーターは、5カ国語を操るマルチリンガルとして、日本と海外の文化を横断する視点を持つアレックス デレチ氏。多様なバックグラウンドを活かしながら、美榮(BIEI)氏の作品に宿る日本の美を、グローバルな視点で紐解いていく。
流れる時を花に映し込む
アレックス華道家を志したきっかけは何だったのでしょうか。
美榮幼い頃から植物に触れる機会が多く、家の庭には四季ごとに咲く植物がたくさん植えられていました。そして華道を嗜む祖母にハサミを渡され、花を取ってくるところから花との暮らしが始まりました。幼い頃から日本の四季を感じ、植物を敬うことが日常でしたから、ただ美しいものを作るのではなく、植物が持つエネルギーを生かすような表現へとつながっています。
アレックス作品を制作される際に大切にしていることは何ですか。
美榮それは、作品が置かれる背景を深く読み取ることです。場所の歴史、人の思い、その場に作品を求める意義を理解した上で、ふさわしい哲学や思想を込めて作品を作ることを大切にしています。
花は言葉を話しませんが、それでも人の記憶や感情を大きく動かす力があります。悲しい時も嬉しい時も、人生の大切な場面にはいつも花がある。私は強く主張するのではなく、記憶に長く残る作品を作っていきたいです。また花は五感に働きかけ、季節と深く結びつきます。記憶もまた、五感や季節に触れた時に自然と呼び起こされるものだと思っています。見る人の記憶を呼び起こし、花を通して「記憶を咲かせる」ような作品をつくりたいですね。
アレックス今回の作品にはどのようなメッセージがありますか。
美榮セイコー プレザージュ クラシックシリーズ 新モデルの三色に合わせて花を選びました。私が着用している「桜色」は、桜の淡いピンク色をダイヤルで表現していますが、この桜をいかに新しい表現で見せることができるかを意識し、力強い流木で、繊細さだけではないシルエットを入れました。桜は日本人にとって特別な花。シーズンも限られますので、襟をちょっと正すような気持ちで生けさせていただきました。
アレックス素敵ですね。美榮さんが考える「日本の美」とは、どのようなものですか。
美榮静寂や引き算の美学にあると思います。派手さや完成された美しさだけではなく、影や余白、散り際にも価値を見出す感性こそが、日本らしい美しさではないでしょうか。
美しい時の流れを、
日々の暮らしに取り入れる
アレックスセイコー プレザージュ クラシックシリーズをご覧になった印象はいかがですか。
美榮日本の美意識が丁寧に表現されていると感じました。品格があり、日常にも自然に馴染み、時間とともに価値が深まっていく時計だと思います。
アレックスとても綺麗な時計ですよね。セイコー プレザージュ クラシックシリーズならではのしなやかな印象に引き込まれ、日本の美意識が感じられます。ダイヤルも美しく、日本ならではの彩り、桜を思わせる色の表現が素晴らしい。
美榮上品で甘すぎず、日本らしい色の重なりを感じます。繊細でありながら幼くなりすぎず、大人の品格を感じさせる色合いですよね。
アレックスほんとに素敵な色ですね。美榮さんはいつも花と向き合っていますが、自然の中にある色の魅力はどこにあるのでしょう。
美榮エネルギーを出しながら、瑞々しく色を重ねているところですね。そしてそのエネルギーを使い果たした花たちは、やがて茶色になっていく。塗装の色のように永続的ではないからこその美しさがあります。
アレックス実際に着けてみた感想はいかがですか。
美榮上品でありながら華やかさもあり、幅広いシーンで使いやすい。バランスがとれていますね。
アレックスケース径は38ミリと、男女問わず着用できるミドルサイズです。
美榮大きすぎず、小さすぎず、性別を問わないサイズで、今の時代にあった自由で洗練された時計だと感じました。仕事の場面はもちろん、食事やパーティーといった特別な日につけたい。また、美術館や公園など、感性を大切にしたいシーンにも合いそう。和装にも洋装にも馴染む時計ではないでしょうか。
アレックスご自身の作品と、この時計シリーズに共通する“日本的な美”はどこにあると思いますか。
美榮細部まで丁寧に日本の美意識が宿っていること、そして派手に見せるのでなく、人や場所に馴染みながら、さりげなく、品質やその背景にある思想が伝わる点に共通性を感じました。
アレックス日本の美意識を時計という形で世界に届けるというセイコー プレザージュ クラシックシリーズと美榮さんの活動に、通じるところはありますか。
美榮伝統を守るだけではなく、現代や未来に受け入れられる形で生かし、世界へと広げていくことが大切だと思っています。セイコー プレザージュ クラシックシリーズも、日本の美意識やものづくりの価値を、時計というかたちで現代に伝え、世界に届けている点に共通性を感じました。日常の中で身につけるものだからこそ、使う人それぞれの時間や生活の中で、その価値が自然と伝わっていくのだと思います。文化は使われ、受け継がれていくことで未来に残るものです。そうした意味で、時計もまた、日本の美意識を現代に生かしながら伝えていく存在だと感じています。
花見は、江戸時代には名所を紹介する出版物が登場するほど、広く親しまれていた。今も変わらずその文化は東京に息づき、桜の季節になると、街は祭りや川面から桜を眺めるクルーズ、季節限定のスイーツやグルメなど、春ならではの楽しみに彩られる。
日本の美を巡る旅特別編
シーラ クリフさんと巡る富岡シルク
世界を紡いだ絹、その原点へ
日本が近代国家へと歩み始めた明治5年(1872年)に設立された富岡製糸場。ここで生産されたシルクを世界に輸出することで外貨を獲得し、近代日本の礎をつくった。この伝統と技術を今に伝える富岡シルク推進機構とセイコー プレザージュ クラシックシリーズのコラボレーションモデルは、富岡の地で生産される高品質シルクの美しい光沢や質感を表現したダイヤルが特徴となる。
その魅力を深く知るために、英国生まれの着物研究家シーラ・クリフさんと、世界遺産となった富岡製糸場を訪ねた。
ナビゲーター
シーラ クリフさん
着物研究家。十文字学園女子大学名誉教授。大学で着物文化を教える傍ら、古着やアンティークとミックスさせる着物の自由な楽しみ方を提案し、国内外で着物展覧会やファッションショーの企画・プロデュースなどを行う。
細い糸から近代日本が始まった
明治維新によって近代化が始まった日本では、高品質な輸出品を必要としていた。そこで注目されたのが「シルク(絹)」である。それは日本の輸出の約80%を占めるようになり、国の近代化を支えたのである。
日本政府はフランスの製糸技術を導入し、古くから養蚕業が盛んだった群馬県富岡市に、富岡製糸場を設立した。
その時代まで、シルクは特権階級のための希少な繊維であったが、日本製の良質なシルクが世界中に輸出されたことにより、広く大衆に受け入れられることとなった。2014年、この富岡製糸場と絹産業遺産群はユネスコ世界遺産リストに登録された。その建築様式だけでなく、シルクの生産技術における先駆的な進歩により、世界的に普及する基盤を築いた功績が認められたのである。
今も残る日本のオリジナリティ
富岡製糸場で作られたシルクは、なぜ世界的な評判を得たのだろうか?
それはここで働いた日本人の感性と繊細な技術、そして日本文化におけるシルクへの特別な思いや愛情も、品質の良さに繋がったのだろう。その結果、1909年には日本のシルクの輸出量は世界一になる。
しかし化学繊維の誕生や海外シルクの台頭もあって、日本の製糸産業は徐々に衰退。現在では、国産シルクは国内流通量の約0.1%へと減少してしまった。その希少な価値を守り、次世代へとつなぐ役割を担っているのが富岡シルク推進機構である。世界遺産・富岡製糸場のある富岡市の養蚕業を守り、品質管理を通じて、「富岡シルク」というブランドの確立に取り組んでいる。なかでも、極細品種である「ぐんま細」は、その繊細な糸とプラチナのような白さ、上質な光沢によって知られる。
日本のシルクの美しさを宿した
美しい時計
「日本の美をしなやかに纏う」をコンセプトとするセイコー プレザージュ クラシックシリーズでは、日本ならではの絹織物や絹糸の美しさを表現したダイヤルで人気を集めている。
日本の製糸産業の歴史を守り、純国産シルク製品の開発や販売に取り組む富岡シルク推進機構との出会いから、セイコー プレザージュ クラシックシリーズ 「富岡シルク推進機構」限定モデル(HCC010)が生まれた。この美しいダイヤルには、きめ細やかな織りによって生まれる張りのあるドレープ感を表現した型打ち模様を施し、この地でのみ生産される最高級品種「ぐんま細」の生地の質感や光沢感を、パール塗装仕上げで表現している。
この時計に目を奪われたのが、着物評論家のシーラ・クリフさん。
「シルクの光沢感が忠実に表現されていて本当に美しい。私が初めて着物を見た時、その独特の光沢感、素晴らしい肌触りに驚きました。それが着物や日本のシルクに魅せられた理由です。そんなシルクの美しさを、ここまで上質に表現されていることに驚きました」と、シーラさんも驚きを隠せない。
日本と西洋が織りなす美
この時計に合わせて、着物を選んでくれたシーラさん。色使いはシンプルでも着物の地に模様があり、38㎜と女性にはやや大きめなサイズの時計が映える。
「セイコー プレザージュ クラシックシリーズには日本的な美しさがあり、ケースの柔らかな印象が、とても上品。私には少し大きめですが、こういう時計を、ファッション的にアクセサリーとして楽しむなんて素敵じゃないですか」
富岡製糸場は日本の伝統や技術が、世界へと広がるきっかけをつくった場所でもある。その地と、日本の美を表現した時計が交差するセイコー
プレザージュ クラシックシリーズ「富岡シルク推進機構」限定モデル。日本の美意識と歴史が織りなす、静かで確かな存在感を放つ一本である。
HCC010
HCC010
